チャリキーマスターは、自転車の鍵をなくさないようにするためのウェアラブル玩具です。
私たちは鍵をポケットやカバンに入れて持ち運びます。
しかしながら小学生のように、活発に遊ぶ一方で、物の管理に不慣れな子供たちは、しばしば鍵をなくしてしまいます。
特に自転車の鍵は、大きなキーホルダーをつけたり、カバンにぶら下げたりできないので、なくなりがちです。
この課題に対して、チャリキーマスターは楽しい鍵の居場所を作り出すことで解決します。
チャリキーマスターを開発するにあたり、私たちはまず幼稚園や学童クラブへのフィールドワークから始めました。
そこでは、小さくなった鉛筆や消しゴム、片方だけの靴下といった小物類が無くなる場面を頻繁に目にしました。
こうした失くしものは、整理整頓で防げるといわれます。
しかし道具の収納場所が定まっていないものは、そもそも整頓できません。
とりわけ自転車の鍵は、ちょうどいい居場所がありません。
そこで私たちは腕時計型のデバイスとしてチャリキーマスターをデザインしました。
側面のスロットに鍵を挿入すると、チャリキーマスターは鍵の形に応じて魅力的な音と光を放ち、鍵を強固に保持します。鍵の挿し心地は、思わず抜き差ししてしまうほど、クセになる触感です。これらの魅力が、普段は鍵をかけない子どもたちにも施錠を促します。
さらにチャリキーマスターは、腕だけでなくリュックサックに取り付けることもできます。
こうしてチャリキーマスターは、自転車の鍵にちょうどいい居場所をつくるのです。
チャリキーマスターのサウンドはmicroSDに保存されているため、ユーザに合わせて変更が可能です。
また、挿入した鍵の形状で異なる演出が起こるため、友達の鍵と比較して遊ぶこともできます。
この演出を実現するために、私たちは独自にピンシリンダーキーをモチーフとした機構を制作しました。
挿入された鍵凹凸に合わせて機構内のバネとピンの位置が変動し、圧力センサを通じて形状が数値化され、Arduinoがサウンドを再生します。
小学校1年生〜4年生の自転車ユーザー
自転車を主な移動手段としている小学生が鍵を失くさずに楽しく持ち歩けます。
遊ぶためには鍵を使う必要があるため、子どもに自転車を施錠するキッカケを作ることもできます。
楽しく、愛着の湧きやすい玩具を通じて、忘れやすかった鍵の印象を強めてくれます。
伏木 寛貴 東京電機大学大学院 修士2年
小川 涼太 東京電機大学 4年
太田原 康平 東京電機大学 4年
松﨑 達也 東京電機大学 2022年度卒業
長堀 彩華 東京電機大学 2022年度卒業
勝本 雄一朗 東京電機大学 准教授
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