INTERVIEW 08

GUGEN2023 大賞作品「シンコキュウ」開発者インタビュー

GUGEN2023で大賞を獲得した深呼吸誘発デバイス「シンコキュウ」。
その開発者である株式会社シンコキュウの三好様に、シンコキュウを作ろうと思ったきっかけからGUGEN出場までのプロセス、そして受賞後の活動についてお話を伺いました。

●今回受賞されたシンコキュウはどのようなものかお聞かせください。

シンコキュウは、「動きと共感のデザイン」に関する研究に基づき開発された、 深呼吸を誘発して習慣化することを助けるデバイスです。 デバイスの独特な動きとサウンドによって、ユーザーを深い呼吸へと誘います。忙しい現代のデスクワークの中でデジタル機器使用時の「スクリーン無呼吸症候群」など、 呼吸にまつわる様々な問題を改善し、生産性とウェルビーイング向上に貢献します。

●シンコキュウを作ることになったきっかけをお聞かせください。

コロナ禍でのPC作業中に息苦しさを感じたことが、シンコキュウ開発のきっかけでした。ちょうどその頃、妻が妊娠しており、一緒にマタニティヨガを行う中で呼吸について考える機会が増えました。ヨガをしているときにはしっかりと呼吸を意識できるのですが、日常生活ではなかなか気持ちの良い呼吸ができていないことに気づきました。そこで、日常的に深呼吸を促すデバイスがあれば良いなと思い、シンコキュウの開発を始めました。
実際に、瞑想アプリや呼吸法アプリも試しましたが、アプリを使うこと自体がタスク化してしまい、気持ちよさが感じられませんでした。もっと自然に呼吸を促せるものが必要だと考えました。
プロダクトとしては、元々ドローンの研究やキネティックアートの作品制作をしていた経験から、動きという概念に基づいたデザインとハードウェア開発に興味がありました。運動共感を人対人ではなく、人対モノで想起しやすい動きを研究し、その結果、深呼吸を促すためのシンコキュウを作ることになりました。

●GUGENに応募された理由をお聞かせください

シンコキュウを製品化したいという強い思いから、GUGENに応募しました。GUGENでは大賞を受賞すると賞金や製品化支援が得られると聞き、大きな動機となりました。
私は元々工学部に在籍しており、学生時代には多くの仲間が起業していました。その影響もあり、自然と自分も起業や製品化を目指すようになりました。
GUGENに応募するきっかけは、過去にGUGENの審査員をされていた鎌田さんからのアドバイスでした。シンコキュウの初期の研究やプロトタイプを鎌田さんにお見せする機会があったときに、鎌田さんから「GUGENに出してみたら︖」と勧められたのです。このアドバイスが背中を押してくれました。

初期のシンコキュウは、かなり大きなもので、使い勝手が良くありませんでした。しかし、ユーザーインタビューを重ね、1年かけて形をブラッシュアップしていきました。そして、GUGENに応募するまでに現在の形に仕上げました。
GUGENで多くの反応を得られたことは非常に良かったです。今後もシンコキュウの製品化に向けて努力を続けていきます。応援よろしくお願いします。

●これからGUGENに挑戦しようと考えている開発者に向けて、一言アドバイスをお願いします

GUGENは、作品を多くの人に見てもらい、実際に使ってもらう絶好の機会です。見に来てくれた人と話すなかで、貴重なフィードバックを得ることができます。
自分が「すごい」と思うものを作りたいという情熱を持って取り組むことも大切ですが、一度他の人に見て、使ってもらうことで、新たな価値やニーズが見つかることもあります。自分のため、そして他の人のために何かを作るという両方の目標がGUGENで叶うはずです。
さらに、GUGENは協力してくれる仲間を見つける場でもあります。見てもらえる環境が整っているため、共に協力し合える仲間を探すことも重要かもしれません。チームでなくても、GUGEN参加者同士で仲間を見つけることができると思います。
GUGENでの挑戦を通じて、新しい価値を見つけ、素晴らしい仲間と出会えることを願っています。

●今後のシンコキュウの展望をお聞かせください。

シンコキュウのβ版が完成し、現在ユーザーテストを実施しています。このテストを通じて、必要な機能や削除すべき機能を見極め、有償レンタルを通じてフィードバックを収集しています。これにより、量産に向けた準備を進めています。
製品は、新しいから買うという顧客ではなく、真のニーズを見つけることが重要だと考えています。そのため、toC(消費者向け)とtoB(企業向け)の両方で、早期に量産を実現することを目指しています。
シンコキュウは、ユーザーの声を反映しながら、より良い製品を提供するために努力を続けていきます。今後の展開にご期待ください。