本装置は、ミストCVD法と呼ばれる手法を用いて半導体を自宅で簡単に成膜できる装置である。ミストCVD法は、超音波で霧状にした原料溶液を加熱した基板の上に輸送し薄膜を成膜する手法で、猛毒のガス･超高温･高真空などを必ずしも使用しないことから、大学などの研究機関で普及しつつある。また、溶液濃度の調整で原料輸送量の変化が可能であるため成膜速度の調整が容易なほか、成膜に際して大掛かりな準備や片付けを必要とせず、実験の試行回数を稼ぎやすい。これらの利点から、多数の成膜条件を検討する必要がある半導体の結晶成長およびその物性探索に適した手法である。加えて、作品タイトルにもあるように、本装置は卓上で収まるサイズで設計されているため、身体に安全な原料を選定すれば自宅のような生活空間でも半導体が作製可能である。
将来の展望として、本装置および成膜手法の普及により、最低限の設備と専門知識さえあれば一個人や中学校･高校等の教育機関が大学や研究所のような機関と同等の成果を上げられるようになる未来も期待できる。さらなる技術の発展が進めば、将来は3Dプリンターのように自宅で半導体部品が生産可能になるかもしれない。
半導体に興味を持つ個人および団体、教育機関
ユーザーが自分の手で半導体を創り出すことで、製造が困難な印象を持つ半導体を作る面白さを共有し、同時に固体物理･無機化学といった関連領域への理解･関心を深めることが期待される。
さらに、自宅だけでなく、学校の部活動や科学実験などの教育の一環として利用することで、日本の科学教育への一助となり得る。
自宅という環境でいかに半導体プロセスを実現するか日夜考えている。現在露光･現像プロセスにも着手中。
本業は学生で、半導体関連の研究を行っている。
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