INTERVIEW 04

GUGEN2020 大賞ノミネート作品「Closer」開発者インタビュー

新しい生活様式、働き方が求められる現代において、いままで導入が難しかった飲食や農業などの分野にも自動化の必要が迫られています。GUGEN2020において大賞ノミネート作品に選出された「Closer Cafe」はニューノーマルな時代に対応したシンプル、軽量で低コストなロボットアームを開発を行っています。開発チーム Closer代表 樋口 翔太さんにインタビューを実施しました。

Closer代表 樋口 翔太 氏

●ロボットカフェの開発きっかけ

小学生の頃からロボット開発に夢中でRoboCupという自立型ロボット大会を通じてロボット開発を行ってきました。高専生のときに、ロボットアームを用いた野菜収穫システムの開発を行っていました。農家さんのヒアリングにより、現状のロボットではコスト的に導入が難しいという声を頂きました。農業を始め自動化が進んでいない、三品産業(食品・医薬品・化粧品)、外食産業にロボットアームを導入しようとしたときに、丁度良いものが見当たらないと思いました。価格、精度、可搬重量、大きさ、重量、動作スピード等を全体的に小さくし、コストパフォーマンスが丁度良くなることを目指し、ロボットアームの開発を始めました。また、私自身、飲食店で働いた体験から、ロボットを通じて繰り返し作業の負荷を減らし、生産効率を上げることで、人材不足の解決や、創造的な活動へつなげたいと強く感じていました。まずは、軽量・低コストといったコンセプトのロボットアームである程度のタスク(輸送)をこなすことを実証するために、ロボットカフェという形での開発を始めました。

ロボットカフェ(Closer Cafe)

●既製品よりも低価格なロボットアームを開発するにあたって苦労した点や工夫した点はありますか?

もっとも苦労した点は、安定した動作を実現することです。軽量・低コストといったコンセプトを守りつつ、最低限、ロボットアームがドリンクを安定して運ぶタスクを達成できるように改善を繰り返しました。

開発中の「Closer」

●つくば市内での実証実験が決定しているとのことですが、どのような反響がございましたか?

With/Afterコロナの生活スタイルの実証実験ということで、既に2回のロボットカフェの公開を行っており、1回目はロボットアームの動作がかなり不安定でしたが、2回目は毎回安定してドリンクを提供することができ、軽量・低コストといったコンセプトのロボットアームである程度のタスク(輸送)をこなすということを実証できたと感じています。また、初見の人でも、スムーズに注文タブレットから注文が行えていたと感じます。当日は非接触、非対人のサービスということで様々なメディアに取材をしていただきました。

●現在ハードウェアやソフトウェアで抱えている問題や今後の目標はありますか?

実証実験を重ねつつ、今春以降、三品産業(食品、化粧品、化学品工場)への導入を本格化したいと考えています。コスト問題以外にも自動化が進まない様々な要因がありますが、ユーザーヒアリングを通して明確なペインを見つけ出し、サービスに反映して行きたいと考えています。

●GUGENに応募して作品への反響など何か変わったことはありましたか?

少しずつではありますが、GUGEN応募以降、知り合いから見たよと連絡があったり、ベンチャーキャピタルから応募したり話を一度聞きたいと連絡がありました。まだまだスタートラインに立ったばかりですが、GUGENに参加したことで注目度や可能性は高まったと捉えています。

●作品の製品化を目指す方々に向けて一言お願いいたします。

新しい製品を作ろうとするとき、技術的に優位であっても、実際に使用してもらうことやユーザーが本当に求めていることを見極めないと、製品にすることは難しいと最近の活動を通じて強く思います。しかしながら、実際に形にしてから得られる気づきはかなりありました。まずは、とにかく手を動かして作ってみることが大切だと思います。