私たちは「お年寄りに安全に使ってもらえるデジタル仏具」をコンセプトに、この"Taito"を制作しました。
//背景
日本人に馴染みの深い宗教のうちの一つとして仏教があります。仏教では仏壇にいる仏様や故人に対して供養を行うため、盆やお彼岸の時期に仏壇に線香をあげた経験がある人も多いでしょう。この仏壇の所有率は年齢と相関があり、高齢者ほど所有している傾向にあります。そのため私たちの祖父母や親世代の高齢者には、自宅の仏壇へのお参りが毎日の習慣となっている人も多くいます。
供養の代表的な動作として、蝋燭から線香に火をともす場面があります。しかしこの動作は供養を通して唯一火気を扱うため、蝋燭の転倒や線香の折損により火事につながる危険があります。実際、令和3年度に都内で発生した蝋燭が出火原因の火災は38件もあり、そのうち高齢者が起こしたものは19件にのぼります。ライターや線香が出火原因のものを含めるとより増えるでしょう。これらを踏まえると、注意力や筋力の低下傾向にある高齢者にとって、この動作は安全ではないのかもしれません。
そもそもなぜ蝋燭や線香といった火気を伴う仏具を使うのか、現役の僧侶である山口依乗さんにインタビューを行いました。すると、蝋燭と線香は仏様の御心を象徴する光と、故人の食べ物となる香りを演出するためであるとの回答と、仏教は自由なものだから基本を押さえていれば問題ない、という旨の激励をいただきました。
その言葉を胸に、私たちは”Taito”を開発しました。
//特徴
”Taito”は新しい仏具のカタチ。
炎のような光の揺らぎと白檀などの香りが火気を使わずに安全に体験できます。また、線香のような煙を演出して視覚的に使用者の満足度を高めます。また、簡単な供養の動作を残し使用時の充足感につながる工夫をしました。
また、LINEと連携した高齢者を見守る通知機能も付属しました。離れて住む使用者がTaitoを一定期間使用しないと、子供や孫など登録されたLINEアカウントにその旨のメッセージを送信します。この機能により、仏具を通して高齢者の暮らしを守ることができます。
//使い方
使い方は、供養の際に専用のカートリッジを差し込むのみです。差し込むと光と香り、煙の演出が現れるので、その後はいつも通りの供養を実施できます。
一人暮らしで定期的に仏壇でのお参りをする高齢者
ユーザーとそのご家族に「安心安全」という価値を提供します。
"Taito"は、従来の蝋燭や線香を用いた供養と比べて扱いやすく安全性の高い供養を実現します。また、見守り機能によりご家族が安否を気づかうこともできます。これらによって今までよりも安心安全な日常をを過ごしていただけるようになります。
法政大学デザイン工学部システムデザイン学科学部4年生の5人で構成されたチームです。リーダーの山田を筆頭にプロダクト、プログラミング、マネジメント、映像それぞれを専攻しているメンバーを集め今回のGUGENに挑みました。僕ら4年間の集大成です。よろしくお願いします!
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日本の文化を、その時代の背景(現代では高齢化)に合ったプロダクトの新しいカタチを模索した点が素敵だなと思いました.
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