【概要】
虫のように気持ち悪い動きをする、お掃除ロボットです
【背景】
家電製品が、ある日意思を持って、生命のように動き出したら?
工業製品は、正確さ、効率性を求められてきた歴史があります。現在AIやArtificial Lifeの研究が進み汎用化されていく中、自動運転を始めた車のように、今後「与えられた役割をこなす」から「自発的に行動を行う」パートナーの様な存在に近くなるのではないかと考えました。
そこにヒトは人格や生命感の様なものを感じ、機械としての作業成果のみならず、楽しさ、安らぎ、満足感を得るということが、未来の普遍になってくるのではないかと考えています。
ここでは、機械と人間のパートナー関係を表現するテーマとして、お掃除ロボットを採用し、それらがまるで生命を宿し、自らの意思で掃除しているかのようなを持った様な動きをとることを目指しました。
また、生命を模擬するモチーフとして、あえて一般的には気持ち悪いと捉えられる存在である、(床を徘徊するタイプの)虫を選んでいます。「キモかわいい」という言葉があるように、不快な存在は、一転して「愛らしい」へ価値が変容する可能性を持っています。掃除を行うという機能を持つことで、その様な価値変容が起こりうるのではないか?ということをプロトタイピングにより試してみたいという事も背景にあります。
【コンセプト】
1.自律走行(衝突回避)
ブライテンベルク・ビークルをヒントにし、二つの距離センサのみでの状況認識と左右への回避という、シンプルな実現手段を構築した。
自然な動きを実現するために、直進と旋回のふた通りではなく、障害物の検知距離に応じた旋回力へのリアルタイムフィードバックを構築し、チューニングを行った。
2.意思を持っているかのような動き
ストップ&ゴーをランダムに挿入すること、ゆらぎを左右に与えることで、思案している、次に何をするか読めない昆虫特有の動きを再現している。
3.鼓動の表現
LEDを制御するPWMのDuty比の対数変換により、人間の目としての輝度変化としてデザインしやすい制御を組んでいる。現在は鼓動の動きをイメージした変化により命を宿しているかのような、感覚を与えることができる。
今後の課題として周りの状況に応じて、色・点滅周期を変えるなどの制御を行う。
日常に安らぎ、愉快さがほしい大人。
ペットがほしい子供。
普通のロボット掃除機の動き(効率的に作業をこなす)では飽き足らない、これからの全ての人々。
「キモかわいい」という不思議な感情とそれに伴う日常の中における安らぎ、愉快さ、新しさ。
家の中の綺麗さ。
未来の普遍となるであろう、機械と人間の新しいパートナー関係。
転職により入社した車メーカーにて出会った二人が、素人同士お互いに切磋琢磨しながら、土日をベースに欲しいものを作る活動を展開中。
結果、筋肉が好きでたまらない関は筋トレを日常に取り入れるためのプロダクトを、芸術(変態)性の強い徳田は変なロボットをと、キャラクターがはっきり分かれた開発を推進。
ふたりとも勤務地である栃木には居たくなく、土日といえば東京に足を運ぶ。
この作品を共有