irodoriは調色した絵の具の色の再現を補助する本型測色デバイス。カードに作った色を塗り、デバイスにセットすると、カラーセンサで色を読み取り、絵の具の原色成分を円グラフで分解表示する。グラフをなぞるように原色絵具を出すことで、簡単に色の再現ができる。また、作ったカードをバインダーに保存することで、自分だけの色見本帳が完成する。
より直感的に、より正確に色を再現できる操作性を目指し、カラーセンサで読み取った色の原色成分を円グラフで表示する仕組みを実現した。カラーセンサで読み取れるのは光の三原色RGBであるため、プログラム上で絵具の原色CMYKWに変換することで対応させた。この際、実際の色と読み取った色の間にギャップが生じないよう、補正するプログラムを組み込んだ。また、道具が多く、使えるスペースが限られるお絵描きシーンに合ったコンパクトなサイズを意識してデザインした。さらに、本を模した形状にすることで、専用カードバインダーとのデザインの統一と、測色時の動作に本の開閉という遊び心を取り入れた。開閉感触にもこだわり、クリック機構を用いることで、カチカチという心地の良いクリック感を演出した。
既存の測色器は、主に印刷業や塗装業などの専門家向けに発展してきたものであり、一般のユーザーの使用を前提としていない。そのため、使用には専門知識や経験を要し、色の成分を数値的に示すだけの機能しか存在しない。また、操作性も専門家用途に特化しており、絵の具の調色といった一般的な用途には適していない。それに対し、「irodori」は色成分を円グラフで表示することで、専門知識を必要とせずに感覚的な色再現を可能としている。このアプローチにより、絵の具の調色という一般ユーザーの用途にも対応でき、技術の利用範囲を広げることができた。
子供から大人まで、混色に関する専門知識を持たず、カジュアルにお絵描きを嗜む一般ユーザーを対象に開発した。
専門知識を持たないユーザーにとって、絵の具を混ぜて独自の色を作る際、後から同じ色を再現することは難しい。「irodori」は、その色の記録と再現を可能にし、アナログで絵を描くユーザーに対し、より手軽な混色体験を提供する。 これにより、ユーザーは混色で作り上げた自分だけの色を自由に扱えるようになり、創作に新たな楽しさと満足感をもたらすことができる。
法政大学デザイン工学部システムデザイン学科に在学する大学生4人組チームです。
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