9割ほどの飼い主は熱中症対策を行なっているが5人に1人の飼い主がワンちゃんを熱中症にさせた経験がある。自己判断での対策には限界があるのだ。
また、熱中症になる多くのケースは外出中である。
メジャーな対策は保冷剤だが、持続時間は短く長時間のお出かけの際には役立たない。
そこで私たちは長時間のお出かけ時に熱中症を予防してくれる製品を開発した。
サーモペットは外気温を計測し危険な温度になった際に身体を冷却する。
温湿度センサーで危険な温度を計測したらリレーが起動しペルチェ素子が冷却されるシステムだ。
製品は服の形で服の内側にポケットを取り付けその中に、ペルチェ素子、バッテリー、リレー、マイコンを入れる。温湿度センサーは外気を測るため服の外側で背中側につける。
ペルチェ素子は低温を維持するため熱伝導グリス、冷却シート、ファンを付けた。
使い方はワンちゃんにこの服を着せて電源を入れるだけだ。
製品開発にあたり三鷹通りどうぶつ病院の院長で獣医師の斎藤先生に話しをうかがった。
斎藤先生からのご意見を元に
・外気温が25度になった際にペルチェ素子を20度まで冷却
・冷やす場所は心臓の周りを避け広範囲
・2時間連続で冷却したら冷却をやめ、時間を空けて再び冷却を始める
というデザインにした。
またこの製品は長時間のお出かけで使うためペルチェ素子がどれくらいの時間低温を保てるか実験した。
放熱面に熱伝導グリス、冷却シート、ファンをつけたところ1時間後もペルチェ素子の温度は一定して約18.5度のままだった。そのためペルチェ素子の冷却機能は充分といえる。
製品化に向けての課題は主に3つある。
1つ目はシステムの小型化だ。性能の良い小型なファンやバッテリーを使うことによって着心地の改善や軽量化に取り組む必要がある。
2つめは犬種による適温の差異や適切な冷却時間、再冷却までの時間を調べることだ。獣医の斎藤さんによると目安はあるが研究データはないとのことだった。製品化に向けて正確な数値を知ることが必要だ。
3つめは湿度の影響を考慮に入れることだ。温度が同じでも湿度が違うことでワンちゃんへの影響は変わる。温湿度センサーを使用しているため計測には問題ないので細かい設定をこれから加えていく。
ワンちゃんの熱中症対策に関心がある飼い主がターゲット。アウトドアが好きでよく愛犬と出かけていて良い対策法を探している飼い主や、既存の対策方法が面倒だと感じている飼い主などがそれにあたる。
飼い主が気をつけていてもワンちゃんが熱中症になるケースは多い。
外気で自動的に冷却を始める機能により飼い主が管理するよりも適切な温度管理が可能だ。メジャーな熱中症対策は保冷剤やネッククーラーだが、それらの持続時間は1時間程度で長時間のお出かけの際には役立たない。クーラーボックスで換えを用意しなければならない手間がある。それに対してサーモペットはそれ一つで継続的に熱中症対策を行なう事が出来る。
法政大学在学中の生徒4人組で、1人はデザイン工学部、3人は経営学部のチームです。
理系生と文系生が一丸となって取り組みました!!
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