ぜんまい仕掛けのデジタルムービーカメラ

1950年頃に製造された8mmフィルムカメラを使ってデジタル撮影するためのモジュールを開発しました。
使用したカメラは、Bell & Howell社のmodel 172です。
このカメラは、ゼンマイ駆動によりフィルム送りとシャッターを同期して8mmフィルムカメラに動画を記録します。
フィルムにはダブル8方式のフィルムを用いたフィルムマガジンを使用しており簡単にフィルム交換できること、ターレット式のメインレンズを2本持ち、素早く交換できることが大きな特徴です。

今回制作したデバイスは、フィルムマガジンと同サイズに収めたデジタル撮影モジュールです。
このモジュールは以下の点に留意して開発・実装を行いました。
・オリジナルの光学系をそのまま利用する。
・オリジナルの操作系をそのまま利用する。
この2点についてはおおむね目標を達成し、追加のレンズやフィルターなどは使用せず、撮影時の操作もオリジナルの操作方法と同様に実行できます。
達成できなかった点として、オリジナルを破壊せずにフィルムとデジタルモジュールのコンパチ使用を可能とするという目標がありました。
オリジナルのカメラのフィルム送り用のツメが、イメージセンサと緩衝するため、このツメをカットする必要がありました。
よって、このモジュールを使用する改造を行ったカメラは、フィルム撮影には使用できなくなります。

デジタル撮影モジュールはraspberry pi zero2をコントローラとして使用し、raspberry pi camera V2のIMX219イメージセンサで撮影しています。
オリジナルカメラのゼンマイを巻いて、撮影スイッチをトグルするとシャッターが動きます。撮影モジュールはセンサでシャッタータイミングを検出してイメージセンサで画像を取得します。
連続撮影時間は最大6秒まで、撮影が終了するごとにMP4データを保存して次の撮影を待機します。