「ラジオの実」は特定のラジオ局1局のみの聴取を目的とした、単局卓上ラジオ受信機です。
入力はボタンやダイヤルといった一切の入力機器を用いず、すべて内部センサを用いて行われます。これにより、従来のラジオ受信機に多く見られるような、入力機器が複雑に設けられたインタフェースとは異なる、非常にシンプルかつ自由なデザインを実現しています。
ユーザの行う操作は音量操作のみで、「ラジオの実」本体の位置・向きと、あらかじめ設定されたラジオ局の地図上の位置から設定されます。具体的には、「本体をラジオ局のある方向に向ければ向けるほど音量が上がる」「本体をラジオ局のある方向から背ければ背けるほど音量が下がる」といった動作をします。
以上の「聴取可能なラジオ局を1局に限定する」、「入力機器を廃したシンプルなインタフェース」、「常にラジオ局の位置を意識した操作」という要素を組み合わせることで、ユーザに聴取しているラジオ局を、ひいては話しているパーソナリティの存在をより強く意識させることができます。
・普段の生活の中でラジオを1局しか聴かない人(アンケートでは、85人中44人が「普段は1局のみ聴く」と回答)。
・ラジオを聴いてみたいが、入り口がわからない人。
・各ラジオ局に愛着のある人。
・余計な機能・複雑なインタフェースの排除。
・とりあえず1局聴いてみる、という入り口の提示。
・各ラジオ局のプロモーショングッズとしての価値。
東京都立大学大学院 インダストリアルアート学域所属
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