exFingerは,把持対象の形状に応じてリンク機構により把持姿勢が変化する指型生活支援装置です.
平成25年版障害者白書によると,上肢機能障害者の総数は約46万人であり,その多くが脳卒中や神経損傷などによる手指機能障害です.日常生活を送るために最低限必要な日常的な動作である日常生活動作(ADL)を可能とするために,手指機能に障害がある方の生活支援を目的とした装置が求められています.
exFingerは,指,リニアアクチュエータ,フォトリフレクタを内蔵するセンサ,伸縮性のある装着用バンド,コントロールボックスで構成されています.コントロールボックスにはマイコンと充電式9Vバッテリーが内蔵されています.総重量は197g(指部分のみで108g)です.
本装置はセンサを肘に装着して,脇に押し当てることで操作します.リンク機構により,人間のMP(中手指節間),PIP(近位指節間関節),DIP(遠位指節間関節)関節と同様の動きを可能にしています.対象物体との接触部分である3つの腹には,安定した把持のためにシリコンの滑り止めシートを貼り付けています.リニアアクチュエータのロッドはリンク機構に接続されており,ロッドが収縮するとMP関節のみが屈曲し,小さな物体や細い物体に適した伸展把持を行います.一方,対象が指の腹に接触するとMP,PIP,DIP関節がそれぞれ屈曲し,巻き込むような握力把持の姿勢に変化します.作業面に対する指全体の角度を調節可能な軸により,把持する対象に合わせて手動で持ちやすい角度に調節可能です.本装置は手のひら側にも甲側にも装着できます.
協力:大阪工業大学アシスティブデバイス研究室,谷川 太一,吉川 雅博
・脳卒中や神経障害などによる手指機能障害を抱える人
・指を増やして作業効率アップしたい人
手指機能障害を抱える方には両手作業の支援を可能にし,他人の助けを必要とせずに自立した生活を提供することができます.また,障害を抱えていない人については,6本目の指として作業効率アップを図ることができます.
大阪工業大学大学院 ロボティクス&デザイン工学研究科 ロボティクス&デザイン工学専攻 修士1年.把持対象に応じて把持姿勢が変化する指型生活支援装置について研究しています.第20回計測自動制御学会システムインテグレーション部門講演会 優秀講演賞受賞.
この作品を共有