子供のときに音読はたくさんした方が良いとされています。加えて、聞き手を意識して読むことが重要とされています。
しかし、子供にとって人前で読むことは、はずかしさや、間違いを否定される怖さなどで、なかなかできません。
欧米では、人のかわりに犬に読み聞かせをすることを通じて、音読や読書の楽しさを子供たちに教える活動がされています。
動物は、子供たちの音読を否定せず、時折楽しそうに聞いています。
「KINJIRO」もそんな子供たちの音読の練習をちょっとだけ助けるような存在になればいいなと思い制作しました。
KINJIROは特殊造形の技術ととメカトロニクスを組わせた、アニマトロニクスです。
アニマトロニクスは、映画やアトラクションなどで、活き活きとしたキャラクターの表現に用いられます。
上記でふれた、読書介助犬は動物の持つ存在感や癒し効果を活かした活動です。
アニマトロニクスは人工物でこういった効果を引き出すのに最適だと考えています。
実際にそこに居て、触れ合えるものの強さだと思います。
今回、制作したKINJIROは植物を模した形にしました。
これは、既存の生き物を模したりすると、「犬なら歩き回ってほしい」「鳥なら飛んでほしい」など、
機能を期待しすぎてしまい、その結果マイナスの感性が働いてしまいます。
KINJIROは植物の形にすることで、最初から移動できない事がデザインで示されています。
また、生物を模すことにより植木鉢の中に機構や、処理系を格納できます。
このことにより、KINJIROのからだはとても柔らかく、柔軟に動きます。
また、KINJIROのデザインは二葉(苗)を採用しており、「育てる」「育つ」ということをユーザにイメージしてもらえればなぁと思っております。
今後の展望としましては、現在はマイクのみのところを、カメラや加速度センサを組込み、
より周囲を認識できるようにし、動物の持つ反応性を取り入れ、また動きにも生物の持つ動作パターンを
取り入れることで、より生物の持つ生き生きとした表現を実現したいと考えています。
アプリケーションの面でも「音読の記録」が増えることで、
KINJIROの動きのパターンが増えるなど、アプリとハードの連携を高め、
ゲーム感覚でも楽しめるようにしていきたいと考えています。
中台久和巨(筑波大学大学院)
http://www.facebook.com/hisanao.nakadai
砂田美佑(筑波大学大学院)
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