「そうぞうの遊び」は、玩具でも遊具でもないものを遊びに変えてきた、こどもの想像と時間をリメイクする創作活動、および活動から生まれた作品群です。
スマートフォンをはじめとするポータブルデバイスが爆発的に普及した昨今、我々の視線はデジタルコンテンツに奪われ、現実世界の景色を見る機会と同等かそれ以上にディスプレイを眺める時間が増加しました。
これに押し出される形で、空間特有の現象に想像を重ねあわせ、頭のなかにその場限りのコンテンツを展開することが少なくなりました。
例えば、電車内で「流れる車窓」に「電車を並走する架空の忍者」のイメージを重ね見ながら景色を目で追う遊び、交差点で「横断歩道」に「白いところだけを歩く」というルールを重ねるアクションゲームのような遊び、寝室で「蛍光灯の紐」に「ボクシング」のイメージを重ね見てスパーリングを行うなどの遊びです。
昔は自分だけの想像上のコンテンツを創造していたはずなのですが、他者のつくったコンテンツを持ち歩けるようになったことで、いつのまにか頭のなかのコンテンツ生産ラインをストップしてしまっていたのだと思います。
私たちはこの想像と行為に着目し、自身が子供の頃につくった想像上のルールをデジタルコンテンツ化し、具現化することを試みました。
・電気のひも
寝室の蛍光灯の紐に対しボクシングのイメージを重ね見た思い出を具現化しました。パンチに合わせた音と光が戦いを盛り上げます。
・テレビのチャンネル
リビングのテーブルの上においてあるテレビのリモコンに対し、ボタンの溝しか通ることができないというルールを重ね見た思い出を具現化しました。リモコン上のポインタをコントローラで操作し、溝を進むことができます。
・遠くのゴミ箱
子供部屋のゴミ箱に対しバスケットゴールのイメージを重ね見た思い出を具現化しました。見事にゴミを投げ込めた際に歓声が上がります。
・車の窓のそと
電車の窓に対し並走する忍者のイメージを重ね見た思い出を具現化しました。電車と並走するキャラクタを操作しながら景色を楽しむことができます。
これらの作品はパーソナルな思い出を形にしたものですが、これらを通じ、かつて自身が思い描いていた想像に再会していただきたいと思っています。また、頭のなかのコンテンツ生産ラインの再稼働につながったらとても嬉しいです。
本多大和と君塚史高ががんばってつくってます。
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