参式電子弓は、本物のアーチェリーに各種センサ、マイコン、小型PC、モバイルレーザープロジェクタ、バッテリーなどを搭載したARゲームシステム。本物の弓を扱うように弦を引いて360度全方向に対して仮想的な矢を撃つことが可能。
コンセプトは身体的没入感の実現。そのためにフォースフィードバックだけでなく、重さ、硬さ、温度などのモノ感、自分の周りに別の世界が広がっているという感覚、そして現実の能力を使って仮想の世界を遊べることを目的として弓を題材に制作を行った。
このシステムは自分の位置を動的に検出することで、HMD以上の没入感を得ることができるインタラクティブプロジェクションマッピング方式を導入。弓の撃った感触や衝撃などの感覚などリアルなフォースフィードバックが得られ、部屋全体を手軽にゲーム空間へと変貌させる。つまりこの弓で狙った方向とゲーム中の方向が一致し、例えば正面を狙って電子弓を構えれば、ゲーム中の正面の映像が投影され、上を向ければゲーム中の空・天井の映像が投影されるといった具合である。またどれだけ弦を引いているかもリアルタイムに計測しており、強く引けば強く弾くほど遠くまで飛ぶ速い矢を放つことができるが、その分射た時の衝撃も強くなるのでしっかりと弓を保持していないと明後日の方向に矢が飛んで行ってしまう。
現実空間とゲームにおける必要な能力を一致させ、ゲームからトレーニングへ。そしてより高度な面白さを実現する。またこれを用いた作品ShadowShooterも同時に開発し、これは全方位から押し寄せてくる敵を弓を使って探し出して倒すといったホラーシューティングゲームになっている。暗闇の中で使うことで、映像は一部にしか投影されないが、その映像は暗闇を懐中電灯で照らしたような映像になっており、周りが見えなくても違和感なくむしろ雰囲気にあった作品となっている。襲ってくる敵もそのまま描画するのではなく、影やわずかな動きを頼りに探し出さなければならず、敵を探す行為自体が面白さにつながるようにデザインした。
この弓を手にした時の感触、持った重さ、握り心地、撃った時の感触など、実際に触らないと映像ではなかなか伝わりにくいので、是非手にとって体験してほしい作品です。
https://youtu.be/OJpt13-TsDk
神奈川工科大学、助教、安本匡佑と、東京工科大学、助教、寺岡丈博。
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