2030年までにブルーエコノミー市場規模は世界的に約500兆円に達すると言われています。日本は恵まれた海洋環境を有しており、海洋技術を促進させるのに適した場所です。
私たちは「クラゲ型海洋探査機-海の中の人工衛星-」を開発し、未だ探査されていない地球上の海洋80%を探索することを目指しています。
現在の海洋探査では、エネルギー供給、移動効率、そして機体の大型化が主な課題です。海洋探査時間はバッテリー容量に依存しており、長時間の深海探査は難しい状況です。また、効率的なエネルギー消費が実現されていないため、バッテリー消費が激しく、広範囲のデータ収集が制限されています。大容量バッテリーを搭載すれば稼働時間を延ばせますが、その分機体は大型化し、運用コストが増大します。
そこで、私たちはクラゲのように海流を利用して移動し、さらに自己発電する探査機の開発を目指しています。これは、地球を周回する人工衛星の仕組みからヒントを得ました。人工衛星が地球の重力と慣性力を利用して軌道を維持するように、海流を動力とし、加えて海流から発電するシステムを搭載することで、小型でエネルギー効率の高いロボットを実現できるのではないかと考えています。
現在は、クラゲを模倣したロボットの設計と、海流を利用した小型発電システムの開発に取り組んでいます。クラゲの推進方法はわずかなエネルギーで長距離を移動できるため、効率的な深海移動を可能にします。また、クラゲの形状は水の抵抗を最小限にし、エネルギー効率を高める設計に適しています。海流を活用した自己発電システムは、ロボットが潮流に固定されることでプロペラが回転し、発電をするということを試みています。
データ収集については、一定量のデータが蓄積された際に一時的に海面に浮上し、衛星経由でデータを転送するバラストシステムの開発も進行中です。この浮上機構は、機体内部の体積変化を利用して浮上・沈降をコントロールする仕組みです。
将来的には、地球上の海だけではなく、土星の衛星エンケラドスの海などの海洋惑星への応用も夢見ています。エンケラドスは分厚い氷に包まれており、その内部には全球規模の海の存在が明らかになりました。この星を探査できる惑星探査機は現在存在しておりません。私たちのロボットが未知の海洋環境や生命の痕跡の探索に貢献できると期待しています。
海底資源探査をターゲット市場としています。将来的には土星の第二衛星「エンケラドス」の探査も目指しています。
従来の海洋探査は、一度の探査に多大なコストがかかっているのが現状です。私たちは安価に広範囲を長時間探査することを目指しており、海底資源探査の市場に革新的な技術アプローチを取ることができます。
私たちは3人メンバーで開発を行っており、機構、電装、制御で役割を分担しています。私たちは、もともと火星探査機を開発する学生団体に所属し、ローバーの開発に携わってきましたが、実際に宇宙で探査を行うわけではありませんでした。その経験を経て、私たちはもっと身近で、まだ十分に探査されていない「海」に興味を持ちました。将来的に海洋探査技術が宇宙探査にも応用できる可能性に大きな魅力を感じチームを結成しました。
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