『Planter』は家庭向け小型風力タービンです。
日本ではエネルギー自給率の低さや化石燃料への依存度の高さから再生可能エネルギー(以下、再エネ)の導入を促進しています。これはSDGsにおけるエネルギー問題への活動としてもあげられています。
現在、再エネによる発電は普及しているものの、「エネルギー密度の低さ」「天候に依存した不安定さ」「発電コストの高さ」などから大規模な導入はなかなか進められていません。
一方、FIT法により事業者や住居単位での小規模の導入が進められていますが、こちらも「設置の難しさ」や「電気系統の容量不足」から、再エネ導入が困難な場合もあります。
また、2019年9月の台風19号により発生した千葉県での大規模な停電は、電気系統に頼りきったシステムの弱さを浮き彫りとしました。
これらのことから、現在の発電所と送電網に頼りきったシステムではなく、住居や地域単位で必要十分なエネルギーを発電し消費する自給自足のシステムこそ、「未来のふつう」だと仮定しました。
また、そんな未来からBack castingしたとき、電気系統から独立させることで、導入しやすいうえ、発電・消費が実感できる、現代の様式にあった小型発電装置 が必要だと考えました。
『Planter』のコンセプトは「電気をちょぴっと自家栽培」です。ベランダ等に手軽に設置でき、再エネを小型バッテリーに蓄電します。バッテリーは切り離すことでスマートフォンの充電やベッドライトなど、ちょっとした電源として使用できます。使用済みのバッテリーは『Planter』本体に戻すことで、再び「電気を育てる」ことができます。
ブレードはサボニウス型を基本に、空力や回転する姿の美しさを考慮しデザインしています。
発電機構はコイルと永久磁石を用いたエアギャップ発電機を基本に、実装サイズに配慮しながら改善を続けています。一週間安定した風速のなかで5000mAh発電するのを目標としています。
・再エネによる発電に関心があるが導入していない人
・アパート住みのため大型の発電機を設置できない人
・エクステリアの小物にこだわりがある人
普段の食事に自家栽培の野菜を取り入れるように、普段の生活に自家発電のエネルギーを取り入れることで、エネルギーとの新しい関係を生み出すとともに、エネルギーの消費を体験価値とすることがでます。
また風見として自然を視覚的に感じることができます。
法政大学デザイン工学部システムデザイン学科4年
ヒューマニティデザイン研究室 所属
大学ではプロダクトデザインを主軸にエンジニアリングやマーケティングまで横断し学んでいます。
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