機械の手と握手をしたことがある人は、世界にどれほどいるでしょうか。
これはそんな体験をユーザに提供する、空気圧で動作するロボットハンドです。製作と実験には細心の注意を払い、空気圧というものづくりにおける要素を安全に、有益に、楽しく活用しました。
このハンドは人間の手で第3関節に当たる場所を4本の小型空気圧シリンダで動かしており、その他の関節は掴んだ物の形状になじむ劣駆動機構を利用しています。
またこれは自身の手をモデルとした作品であり、サイズの他にも配管を血管に見立てたり、シリンダを手の甲に位置する骨の形状に見立てて配置したりと、機械的な要素も実際の手に似せるように配置しました。配管の持つ生物的な曲線と機体の持つ直線が共存するデザインはちょっとした自慢です。
機体の他に、電装にも力を入れました。シリンダの圧力を気圧センサから得られる圧力の情報を用い、比例電磁弁を用いて圧力を適切に抜くことで一定のシリンダ圧力を維持する制御を行いました。残念ながら応答性はそれほど良いものではなくなってしまいましたが、この機体をより美しく、魅力的に、かつ機能的に動かせるように日々精進していきたいと思います。
また、これは特に物を掴むことに重点を置いて製作していますが、握手も出来ます。
私が初めてこの手と握手をしましたが、モータにはない空気のなめらかな弾性が、この手をより魅力的にしていると感じました。
・身近にロボットがあるような未来を夢見る人
・空気圧を利用した工作に興味のある人
このロボットハンドがユーザに提供しうる価値として挙げられるものは2つあります。
まず第一に機械の手、それも空気圧で動作するというあまり見ない(と思っている)ものとの握手という特別な体験を提供できます。
第二に、空気圧をつかって何かを作るというのは直感的で
私は幼い頃に父と観た、主人公を助けに未来からやってくる強くて頼れるロボットに憧れました。気付けば私は機械系の学生へと歩みを進めて今、このロボットハンドを作っています。ロボットハンドに限らず、楽しくこれからも製作活動や製作を通じた学びを大切にしていきたいと思います。
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