小型軽量の小児用の電動義手

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小型軽量の小児用の電動義手

by 小林 冬弥
生活・からだ

作品概要

成人用の電動義手であるFinchをベースに作られた小型軽量の小児用電動義手です.日常生活,学習,遊びの場面で,必要に応じて道具として使う,というコンセプトにもとづいて開発しました.
 上肢の先天性形成不全児に対する支援機器として,小児用の能動義手,筋電義手があります.能動義手は,ケーブルの牽引により開閉可能なフック状の手先を,身体の動きを利用して操作します.安価なため入手性は良いものの,ケーブル牽引用のハーネスを装着するために拘束感が強い,システム全体が重い,小児の力ではケーブル牽引が難しい,などの課題があります.筋電義手は人の手に近い外観を持ち,筋電による手先の開閉が可能です.小児には筋電を用いた操作を理解するのが難しい,高価にもかかわらず購入しても成長によりすぐにサイズが合わなくなる,重い,などの課題があります.
 これらの課題を解決するために本義手を開発しました.本義手は対向3指により様々な日用品を把持・操作できます.単一のリニアアクチュエータで3指を開閉するシンプルな機構により小型軽量化し,欠損肢を挿入するソケットを含めた総重量は約270gです.3Dプリント部品と汎用部品で構成されているため,5万円以下で製作可能です.ソケットに被せたサポータ内に挿入したフォトリフレクタで前腕の筋肉の隆起を検出し,その大きさに応じて指先の開閉を制御します.前腕の動きで操作するので直感的な操作が可能です.筋電を検出できないユーザでも使用できる可能性があります.3Dプリンタを用いて製作しているので,配色を小児の好みに合わせて変更することができます.玩具のような見た目も相まって,小児の関心を引き,義手の使用を促すことができます.ソケットは成長に合わせて3Dプリントを用いてサイズ変更ができます.
協力:国立障害者リハビリテーションセンター研究所河島則天氏,ダイヤ工業株式会社小川和徳氏,大阪工業大学アシスティブデバイス研究室

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ターゲットユーザー

日常生活,学習,遊びの場面で不便を感じている前腕欠損のある小児

ターゲットユーザーに与える価値

本義手は欠損した手の機能を補い日常生活を補助します.本義手の装着により身体の左右バランスを整えることもできます.欠損側に健側と同様のボディイメージを構築できる可能性や,義手の重量によって欠損側の残存部位の筋力も向上も期待できます.成人用の義手を使用するための前準備にもなります.

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作品投稿者について

小林 冬弥

大阪工業大学 ロボティクス&デザイン工学研究科 ロボティクス&デザイン工学専攻 修士1年
アシスティブデバイス研究室所属
小児用の電動義手について研究しています.

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