KESPIEは黒板にチョークで書かれた文字を自動で消してくれるロボットです。
磁石で黒板に張り付き、モーターを駆動して黒板消しを引きずることで板書を消します。加速度センサで傾きを検知して水平に移動し、また赤外線測距センサを用いて黒板の端を検知します。
縦120cm、横360cmの黒板(小学校などによくあるサイズ)なら2分ほどで全面消すことが可能です。
磁石で張り付くマーカーなどを用いて消す範囲の指定も可能であり、連絡事項や日直などが黒板に書いてあっても使うことができます。
KESPIEの操作は至って単純で、黒板に貼り付け、スイッチを入れるだけです。また、シンプルな構造と、近年低価格、高性能化されてきた電子部品のおかげで、数千円から数万円程度で安価に製品化できます。さらに、導入時に大掛かりな工事や、面倒でわかりにくい初期設定などは不要であり、黒板消しの自動化が手軽に実現可能です。
KESPIEが実現するのは、単なる黒板消しの自動化にとどまらず、学校生活というほぼすべての人々が経験する日常に、ロボットが溶け込む未来的な世界です
大学や塾でKESPIEを導入すれば、授業間に黒板をきれいにするために多くの清掃員を配置したり、授業前に先生がわざわざ前の授業の板書を消したりするという必要はなくなり、経費削減や授業効率の向上につながります。
小中学校では授業後は生徒たちが黒板を消すのが一般的ですが、短い休み時間を黒板を消す作業に費やさなくてはならないことは、授業間に休憩をとったり、前の授業の復習をしたり、先生に質問したり、次の授業に備えて予習したりする時間が削られることを意味します。KESPIEを導入すれば、そんな課題が解決されます。
黒板を消すなんて、わざわざ自動化しなくても誰かがやればいいことじゃないか、今まではそう思われていました。しかし、どうでもいいことだからこそ、ロボットに任せてみませんか。
黒板のある学校や塾の先生、または事務員、運営者、学生、または清掃員など、黒板に関わり、板書を消すという雑事に時間、労力と費用を奪われているすべての人々
黒板を消すという雑事からの解放
人々の身近な場所で仕事をこなすロボットという夢の実現
手抜きなく清掃された黒板
2019年7月発足。メンバーは東京大学工学部機械工学科・機械情報工学科学部3年生の7人。普段の授業で学んでいることを生かして、社会に影響を与えるような何かを作ってみたい、そんな思いで東京大学本郷テックガレージのSFPに応募し、試行錯誤の末、KESPIEを作り上げた。今までに作ったプロトタイプは7機、ホームページで公開中。
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